風のしらせ

中学校からの帰り道
ふわっと風が
まりこの髪を靡かせたと思うと

風が、話しかけてきた
「まりこちゃん、
私は今、死んだからね。」

おばあちゃんだった
何年も会ってない、おばあちゃん

「おばあちゃん?
本当に、死んじゃったの?」

風は、何も喋らなかった
ただ、ありがとうね、と
まりこの頬を撫でた


まりこは、空を見上げた
おばあちゃんは、もういなくて
おばあちゃんが、空にいることを考えた

風も吹いてる、私は一人じゃないんだ
不思議だけれど、やさしさを、心いっぱいに感じられる…


涙は遅れてやってきて、
空を見上げるまりこの頬をしずかに濡らした

20/09/13 02:19更新 / らん
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