風鈴の季節が終わる

窓に下げられた風鈴は、小さくリンと音を鳴らして
それきり黙った。

音の残響を空の向こうに放り投げ、
風鈴の季節は終わりを告げる。

暑さで浮かれた集団はどこに向かう。
気がつくと取り残されていて、
残ったものは余韻のみ。

鮮やかに咲いていたものは枯れ
次々と色を失い
風は吹く。

けれど、それは新たな風だ。
冷たくて、でも清凉な風が
心の中を通り抜ける。

一人でもいい、この大人だけの寂しさを
そのまま味わえるなら。


21/07/24 00:51更新 / らん
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