散歩
昼下がりの部屋は
テーブルに太陽の光が淡く、うっすらと差して
無造作に置かれた観葉植物は
倦怠を受け止めている
前に進み出しても
ちっとも前に進めない
足取りを
さぼてんの刺が受け止めている
白い壁が煩くてたまらなかったので
部屋のそとに出ると川があるけど
その波は今にも弱く、消えそうで…
吸い込んでいるのだった
子供たちの遊ぶ声を
快活な青年たちが自転車に乗って騒ぐ声を…
波が弱そうだったから悲しく感じて
そばにあった橋を渡ると
別世界へ行ってしまい
もう二度と帰ってこれないのだった。
それを知らないで橋を渡ってしまったから
真っ白い何もない四角い箱の中で
ただうろうろ歩き回るしかない人生を
送ることになってしまったのだった。
知らない場所に行けばなんか楽しいことがあるかなと、
いや、全く知らない自分自身に変身できて
今まで味わったことのない快楽があるんじゃないかと
何かしらの別世界があるんじゃないかと
尊大だけど、人間らしい
小さな望みをただ抱いていただけなのに
人生は、あっという間に終わった。
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