良き夏の夜
夏の夜はこうあるべきで
自転車に乗っていると肌は冷たくなるが、少し脚で動くと汗が湧いて出てくる
ぬるい風は顔をなでる
鈴虫とキリギリスが鳴いていて、油断していると不眠の蝉が鳴く
紺とも黒とも呼べぬような真上の空にはアルタイル、右にデネブ、その左上にはベガ、夏の大三角を差し置いて一番輝いてるのは木星。
湿った土の匂いとヒマラヤ杉の強い匂い、独特なカブトムシの匂い、松、楠
の匂いがして、どこからともなく蚊取り線香の匂いがする
何かは分からないが、何かが懐かしくて顔に出さずに微笑んで
暑い昼間のために良き夜に「またね」という
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