祝辞の言葉

先輩方が卒業するので、学級委員である私は祝辞を考えないといけない

仲良くさせてもらった先輩もいないと言えば嘘になるが、思い入れがあるかと聞かれると何とも言えないところである

それでも、仕事は仕事。考えなければならない

.......


そうだネットから写せばいい

私はスマートフォンを手に取って


静かに置いた


なんとなく気が進まなかった

ほとんど関わることがなかったとは言え、少し申し訳ない気がした


思えばあの人たちも可哀想なひとだ

本来は在校生とたくさんの来賓に祝福されながら卒業する予定だったのに

思いがけない災厄に見舞われてんてこ舞いだっただろう

花の卒業式には、来賓は愚か在校生だって立ち会えない

先輩と兄弟のように仲良くて、別れを心から悲しむ人だっているのだろう

その人たちの大事な瞬間を、てきとうに写した薄っぺらい言葉で締めくくるのはナンセンスだと思った


期限は刻々と迫っている

でもまあいいだろう

時間をかけてゆっくりじっくり考えよう


三年生の先輩方 御卒業おめでとうございます

21/02/06 00:49更新 / 1026
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