逡巡

ふしてをもふのですよ、
かのじょが あたしを愛せなかつた 其のわけを。

しずかな夜には とくべつ かわりなく
かはひさうな こどもが居るでせう。


ゆびさきはつめたく 乾涸びてゆくだらう…
ちいぷな玩具を にぎり 絞めたまゝ。


ひた … ひた … と
吾〈あ〉の心臓は たばこのけむりのやうに

くゆって逝〈ゆ〉く

…くゆって逝く__


ゆめにまで視〈み〉た
大ほいなる 母の霊 ―たましひ― は まことにせんなし…

又・いつぞやとは 打ッてかわッて

しみッたれてゐた。


ヤア、ヤア、ヤアと
濡烏が悲鳴をあげてゐる、


それだけれども、

馬鹿らしい 場合等〈ばやいなど〉 知る由も無く、

鼻が曲がるやうな 臭〈にお〉いがしたのでした。




20/06/02 10:24更新 / ヨルノアサヒ
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