逡巡
ふしてをもふのですよ、
かのじょが あたしを愛せなかつた 其のわけを。
しずかな夜には とくべつ かわりなく
かはひさうな こどもが居るでせう。
ゆびさきはつめたく 乾涸びてゆくだらう…
ちいぷな玩具を にぎり 絞めたまゝ。
ひた … ひた … と
吾〈あ〉の心臓は たばこのけむりのやうに
くゆって逝〈ゆ〉く
…くゆって逝く__
ゆめにまで視〈み〉た
大ほいなる 母の霊 ―たましひ― は まことにせんなし…
又・いつぞやとは 打ッてかわッて
しみッたれてゐた。
ヤア、ヤア、ヤアと
濡烏が悲鳴をあげてゐる、
それだけれども、
馬鹿らしい 場合等〈ばやいなど〉 知る由も無く、
鼻が曲がるやうな 臭〈にお〉いがしたのでした。
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