ノストラダムスの言う通り
少し笑った… 形のいい唇が
頬の端で ゆるりと 崩れた。
ぼろぼろ、白いつめは…まるで
自分自身を引っ掻くためだけにあるような。
しんしんしんしん、耳鳴りがする。
白く、狭く、何も無く、
早く、ここに、真っ赤なウソを、
貼り出して、欲しかった。
・
焼けつく夏の、
ゴミで埋まった細い路地を歩く…
もうここには 光さえ届かないが
アスファルトからむんとこみ上げる
夏の暑さだけ きちんとあった。
歩いてきた野良猫は…
どうやら、涼む場所を求めていて、
くっつくと、噛み付くだろうと、
少し離れて、影を作った。
みんみんみんみん、蝉が泣く。
風が運んでいく、海馬の遠く遠くに。
りん。
あの日の小さい風鈴の音は、
べたべたと、ねばるように
汗をかいた体に引っ付く、床の感じは
きっともう、、私では救えない
しんしんしんしんみみなりがする、
みんみんみんみんせみがなく。
TOP