地味な花を一輪
乾いた唇が痛い。
涙はさっき飲んだレモンティーの味がした。
世界がすべて滲んでいる。
胸の間を突き刺し抉って、肺を破り出てきた鋭い槍は、
どす黒い血が絡み付いて、それがゆっくりと地面に滴っていた。
切っ先は錆びて茶色、もはや私と同じ時を朽ちていくだけのよう。
私はこいつと心中します。
真っ暗な部屋の隅の汚い机の上に乱雑な文字で悲鳴を書き遺した。
最後はだんだん、真っ黒が白く、淡く、光って、痛みは消えることも無く、
何も残せなかった。何も受け止められなかった。
何も、この両手に抱えられるものなんて見つからなかった。
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