とべないとりはあいたくて
足が冷えている
だから眠れない
ニンゲンの背中を踏むように
階段を一歩ずつそっと降りて
ひた、ひた、ひた、ひた
濡れた髪を乾かさないと
あなたが怒る
幽霊みたいだと
あなたが怒るから
私はいつまでも
黒髪に天使の輪をかけ続けて
フルーツの香り
いつも使っていたクリームの香り
熟れた果実を
裸足で踏みつけにするような愛
そんなものいらない
変わらない日々はいらない
痛みにも慣れたし
愛想も尽かした
あなたに付けられた傷を引き摺って
楽園を目指す
きっともうこの世には
楽園なんてないと分かっていながら
それでもまだ逃げ出すのは
私が馬鹿な女だからと
きっとあなたなら
言う
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