とべないとりはあいたくて

足が冷えている
だから眠れない


ニンゲンの背中を踏むように
階段を一歩ずつそっと降りて

ひた、ひた、ひた、ひた

濡れた髪を乾かさないと
あなたが怒る

幽霊みたいだと
あなたが怒るから

私はいつまでも
黒髪に天使の輪をかけ続けて

フルーツの香り
いつも使っていたクリームの香り

熟れた果実を
裸足で踏みつけにするような愛

そんなものいらない
変わらない日々はいらない

痛みにも慣れたし
愛想も尽かした

あなたに付けられた傷を引き摺って
楽園を目指す

きっともうこの世には
楽園なんてないと分かっていながら

それでもまだ逃げ出すのは
私が馬鹿な女だからと

きっとあなたなら
言う


20/02/29 04:05更新 / ヨルノアサヒ
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