飽和する夏

夕立に降られた僕は濡れたまま
ずっとあの日を見ていた

無邪気な子供が走って息を切らしている
その笑顔に 太陽に 蝉の声に 照り返すアスファルトの熱にあてられて
僕は体勢を崩す

手に入れては壊した
まるで僕らの友情みたいだった

風船みたいに膨らんだ雲は不穏な雷鳴をとどろかせて
僕の心を急かしてゆく

どくん、どくんと鼓動が跳ねて
体中の血液が沸騰する感覚をただ感じていた。

21/08/17 16:37更新 / ヨルノアサヒ
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c