旧校舎
祈り疲れた夏の朝に
あたしは裸足で
グラウンドの空気を肺いっぱいに詰め込み
地面に響く運動の音を聞いた
空気の破裂する音
鳥が沈む時の鳴き声
最期の世界は美しくて
あたしは思わず涙があふれました
母へ憎しみと愛を
つめたい朝はまたいつものように解れていく
子供だったあたしはまだうまく
あの子を切り離せなかったのです
あれから夏が増えて
きっとみんなは気づいていないうちに
褪せた湿気が天を蝕み
暗闇に鍵を掛けられているの
あたしは今でも
あの日に帰りたい
小さな地球人のすべては
短く折れて終わりだろう
只,唯一変わらないでいてくれた
見上げた夜空の星に
むかしからあたしのかけらが
祈って輝くのが見えました
ビー玉みたいな瞳を転がして
たった千年の鮮やかなる犯行を終わらせた時
あたしは嬉しくって堪らなくて
やっぱり涙を流して笑ってしまいました
また新しい肋骨を取り戻し
肉がついていくその前に
祈り疲れたあたしを見つけて
閉じ込めて連れ出して話をしてください
かの世界には
大好きなお線香の匂いと共に
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