雨に彼女を重ねて、冬が訪れる
こんな季節だと言うのに
なんだか暑いな
じわじわと侵蝕していく
滲み、汗ばんだあの夏が来る
強い風に私はぐらりと身体を揺らした
両足で地面に根を生やし
折れた背骨をばきばきと鳴らし
空に向かって吼える
歪んで消えた、屋根の上
この記憶すらも曖昧で
amp;#10005;― 嗚呼、閑閑と過ぎ行く青空信号 ―
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そうしているうちに
揺らぐタムの響き、ああ記憶は冬にかき消され
ただ紅く色付く枯葉は落ちて
しんしん静かに積もった去年の雪を残し
僕は胸に降り積もるだけのその記憶を継承しては
ああ、やっぱりでも、雨は寒いよと呟いた。
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