偏執破瓜
ごうごうと飛行機の音がする。
雲を引いている。
私はただサンダルのつま先を見ていた。
月明かりが強く、眩しかった。
いくら拭ってもシャワーを浴びてもへばりついてとれない羞恥心と、
針でつついて破裂させたい肥大化した自尊心を、
こんな時間にどこに持っていけばいいのか分からない。
私の細い細い手から、幸せな記憶はボロボロと漏れていくのに、
辛い記憶だけ指の隙間に絡まってどこにも行ってくれない。
こんなもの早く捨てたいのに。こんなもの早く捨てたいのに。
身の丈に合わないような、たくさんの自己を形成し、それを認識して、せめぎあってぶつかった。
私は私、それ以外のなに者でもない。真実は真冬の水のよう。
器をください、私にぴったりの器をください。
沢山、私なんかが持っていても意味が無いようなものばかり、こんな小さな器では、すべてこぼれてしまうわ。
だから器をください。
もう悲鳴をあげてる身体がばちばちと弾け四方八方散り散りに飛んだ。
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