わたしのじかん
水を飲んで吐いたもうすぐ午前四時
あたしは焦燥感と一緒に屋根の上に座る
おとなりさんはいいひと 私に手を振る
昨日開けたファーストピアスもう外すの?
樹脂製透明ハート型 これもちいさい犠牲
かわいいハート型に まだ傷痕から血が滲んでべとり付いたの
終電はすぎ始発まで あたしはここで待つわ
大丈夫きっと落ちない
大丈夫きっと落ちない
だってあたしの頬を撫でる風はつめたくて、
つめたくて、
さみしくて、
吐き出したって、なにもない。
ちかちか光っては消える誘導灯は
誰もいないよと言われることを恐れているのか?
幽霊、透明人間、あたしは居る
あたしはここに居る
傷痕とタバコのケムリ 喉に指突っ込んで泣いた
ファーストピアスはただの怪我扱いなんだってさ
理想を描いたら心臓を止めていいのかな
そのために私は三階のベランダから
こんな夜更けに空を見上げてみた
いまにも落ちそうなこの壁は
へだてられているむこうの景色は?
あたしにはわからない わかりたくない
まだわからなくていい きっといつかわかるから
始発まで あたしはくらい空の中ひとり
じんじん痛むセカンドホールをヘッドホンで被して
何を探しているの 何を探しているの
雨はもう止んでいるのに
何を求めているの 何を嫌っているの
ねえ 愛して 体に伝えて
冷えていく夜の中
味気のない三階 視点は思ったよりもうんと低いから
いつかあたしのこの足で電柱を渡り歩く
誰もいない 誰もいない
いない いない ばぁ
だけどあたしは?
─(午前三時四十分の夢より
ここから見える世界なんてちっぽけだ。
さよならさよなら
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