駅骸K



使われなくなった駅の死骸があった

廃小学校などとともに
地域コミュニティとして使われ
取壊しを免ぬがれ生き延びてた 舎つわ
そこには響び使っていたむかしの学生や
会社がえりのとうちゃんたちや
となり町の駅前スーパーのほうへ連立ち
買出しに出てた姦し婦ばさまらの未練が
じっとらと 染ついていたりするからね
万物宿る八百万づの主語ではないが
駅にも駅がみ様が巣食っているはず


譬えばかれは頭の型置が冴えぬ爺さんで
カラダがじっぽん肢の蜘蛛化身だったり
蓮音は女学生の頃ろ下校時に駅の厠裏で
しゃがんで用足した直後吐息と一緒に
蜘蛛のバケモンと鉢合せたことがある
いまおもえばそれが駅内の 輪 を宰どる
時鉾乃守漓宮 だったんだな
おしりさわられて「きゃあ変態じじぃ」
おもわず足蹴喰せたら蜘蛛爺い困惑して
ドゲザして謝いゃまりだした
じっぽんあしのドゲザって今おもうと
よくあからない構図だけれんども
すんまへんすんまへんすんまへんすんまへん
終いには蓮音のほうも毒気が殺がれて
そのおかしさに畏れを忘れ笑っちまった
「しっ かたないなあ。ゆるしちゃるわ」
其以後 時ジイ蜘蛛と蓮音は顔パス付合い
やがて 蓮音は女子校ソツギョウして
桐杏の大学へと時鉾村を離なれ
爺蜘蛛なんて妖ネ申居たことも忘念した
二十五年ぶりに二人の娘と両親の袴襟に
合併してその名の消えた故郷へ省った際
あの子んパクトな小駅が廃駅になったと
恥じめて知った するととたんなんか
ココロの深其底がくすぐったくなり
なつかしいもんどびっとこみあげてきた
「そういえば ………」


なんかすごいヘンなおじいちゃんオバケ
いたなあぁぁ。
こめかみの裡がわの血管がふつぐつして
オモワズ 娘の堀子と許璃子を抱きよせ
漏れてきたきらきら潮だ停めれなかった


千羽鶴や地域会合のおしらせ遊ら提った
天井裏むこぉから爺神がほくほくみおろ
し ホホエンデル 眩んじがした





23/05/30 05:38更新 / OTOMEDA
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