畢わりという美しい死
死が悲しいのではない
悲しいのはそれまで想い出を倶もに重ね
背中合はせでいた馴染んだ親かき意思が
そこから放れいなくなること
憐れなのは死んだひとではない
死んだ人は桎梏と鎖錠の隷属からときは
なたれるだけ むしろ祝福といっていい
自己を限縛していた名前と肉体と
肩書 枠組み そうした既成概念から
自由になり どこにも囚われなくなる
おしつつむ空気と水のよう ときには
星と星を伝い結び付ける真空のよう
奔放な環境そももも
時を超えてどこにもいてどこにもいない
カレラが遺どまるのは 拘った者の脳おく
にだけ ハードディスクサーバーにだけ
価値は散逸 対価は無意味
もとから居なかったと考えることが自然
必要とされ想い返されるときだけ
セル番地の座標参照でアクセサ れい
喚ばれれれ召されれれれればそれで充分
可哀相なのは遺されて哀しいと哭くひと
まるでキレ散らかされ食べ残された
いらない御菜づみたいに
喪失直後は感じめの焦点もさまだらず
靱で窕かしい 置いてかれに馴れて
心幕内にできたケロイド癒えるまではね
吾はそのように先に旅すんだ啓から
聴いたと心野博士はさう説たる
業珠叱咤與斷 埀 澑のように慄然と
超感覚のばし 翼り視点の俯瞰照査でね
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