ボサノバ




吹きつける熱風に
椰子の木椶櫚の木そよぐ
エメラルドビロードの灘渚
打ちよせる銀浪み郷愁に
貝殻とポリ容器の砕けた破片
磯溜まりにうかぶ白シャレコウベ
それでも不動をたもつ
蟲喰竅まみれの縞テトラポットら
巖ばの沖でゆらぐ
排てられた薄色のビキニトップ
往時の華に想いを馳せさせる
すこしはなれたところには
揃いのビキニボトムもはむぶん
裂ぶれて白化した木の枝に
引っ掛かって震えている
さむいわさむいよ
こんなにてりつけてる陽射しの
なかでなぜ?
ちがうの
こころが寒いの
すでにジンルイと呼ばれた種が
うちゅうに断ち去って陌年余り
いまは唯だ うちすてられて
波と椰子の林だけが それら彩る
すこし褪せたたいよおのしたで
きのながくなるような地質紀代の
余生の昼下がりを過ごす南米
ブラジルアラゴアス海岸


さびしくもこのうえない令昂の平和

飽くこともなくくりかえす


ちひょうの凡てがえいごうの闇に
雫ずみ 星の墓標の下に埋まる
夕暮時まで








23/03/19 07:55更新 / OTOMEDA
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