匠の魄宮
寄木細工とちりめんは
和合と協調の具現
編んで繰り返し連面と
停どまらず流れゆくさまを
語りだすカタルシス
和刀はいっぽう純真で
清廉潔白とした武の源髄
まるで呼息さえ聴えてきそうな
死の刹那ぎりぎり手前まで迫り
生への反問を光沢の美に魂もす
双極する和工芸の匠のいきとわざ
どちらも美のなかに永き営みつづり
創りての心象鏡しだし伝むぐ
織ったり編んだり組んだり研いだり
胼胝だらけの手は奇蹟くりだす寺堂
つきひと研鑽が汲み上げ積み上げて
使い手の魄ろまで捲き込んでゆく渦
なもない美術展でみた船箪笥は
倹飩式扉などの面白仕掛が巧こされ
からくり調度が満載で見夢った途端
かけがえのないという価値観が
おもわず脳う衝いて裂けび
活眼し めがしらを抑えた
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