地藏祠




誇こり とか
たあいないものをぜんぶ
踏 み超えたその篝上に常らいでる
こころの信り仰ころの 祠こ処


無実で夢昧なプライドなんて
要らない
そんなものはひとの我欲を
爬き毟り窓どわせるだけ
ただひたすら
そこの地の土ちなかに 根 を張り
むごんで鎮づかにくらす衆の
さがとさまを視衞もる
貌お 貌お 貌お 貌お が在ればいい
其れだけで無辜の衆みは安堵する

道祖信仰なんてそんなものなのです

ネ 申 樣というおおげさなイメージでなく

ひゃくねんの風雪を跨いでん

灼熱炎天夏のしたでも
極寒のもうふぶきに嫐られてても

ただ脇こに并らぶ同衾として

郷土(ちく)でいつまでも 俟 っていて
くれるぼくらの霊が零えれる里墓ょ
なんです
だからおおきく聲を放げて 提 ける
ただいま


『 おかえり 』

と 道祖さんたち

夙うにい亡くなった親御の替りに
恒つも 應 た えて くれてる


『 タダイマ! タマ。』






23/07/31 05:35更新 / OTOMEDA
作者メッセージを読む
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c