砦
今日が最期 明日の太陽は来ないかも
しれない
毎日そう思って永らく暮らしてきた
おれたちゃ最前線の砦の屯兵団
ここには女はいない
女は敵国 明日攻めてくるのは女軍
男と女が互いを分かってから以降
あたらしくこどもというものが
誕まれなくなった
おれたちゃ老いたものから率先して
前線の盾となって肉弾となって
消えていくだけ
なんという絶望的な絶子化社会
ああ そういえばこの徴候は
あの二十一世紀とやらに始まってた
んだなあ 凡ての原因はあのころの
アイツラがわるい
ああ ここに女が来てくれたらなあ
おれたちを殺しにでなく
こどもがほしいぜ
今日がお仕舞い 明日のお月さまは
見れないかもしれない
毎日そう思ってずっと息きてきたよ
あたしたち前線半地下塹壕の斥候隊
ここには男ってさ全然いない
男は敵国 毎日襲ってくるのは雄軍
女と雄がその道をたがえてから
あたらしくこどもというものが
誕まれなくなっちゃった
何が直接の原因だったのか
今となってはもう誰もわからないの
あたしたちも弱った子から率先して
前線で盾となって人地雷となって
敵軍に投びこんでいく …ヒドイ!
絶子化社会は人の未来を殺しちゃった
ああそうよこのきっかけは
あの二十一世紀にぜんぶ始まってた
二十一世紀人憎い
二十一世紀の人たち罪償ってよ!
ああでももしもいまさら男の人達と
なかよくなれたらなあ……
こどもほしいよ こども可愛いよ
人類は滅ぼしちゃならねえよ
人類は亡ぼしちゃいけないわ 絶対!
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