龍脈織翩
おおむかし龍脈をかたどった
大海に籠こまれただいちにねづく
『産土国(うぶすなのくに)』と
いうコッカがあった
そこではみめうるわしき巫女が
年々選抜されしぼりたての血液と
腐敗するまえの肉を捧げる式典が
代々継承されていたという
いえカルトと侮どるなかれ
その信仰とは
その巫女から引き継がれる
はずだった子や孫や子孫たちの
存在するはずだったその価値を
抵当に担保にだす犠牲によって
くにの威信と持続への信頼を
繋ぎ止める教条だったのだから
ひとの愚骨からくる狂背信は
ときに大衆守護の本来くにが
かかえるべき意義の純粋さえ歪が
めて個人の立脚事由と刷り変わる
そのおろかしさなさけなさ
時世へても革ら天まるけはいなく
れきしを顧みない狭器の輩がらが
くりかえすのが映し代の倣なしさ
『産土国』はその後うもれそれら
遺跡のうえのほうにオオヤツシマ
の国威があぐらをかいてわれらの
いまの文化が受き接いているのか
もしれない 併かし意思馳せることだ
その山河が龍のマナ通わす管であり
そを調律せる才覚とをいまだ市井に
眠らせていることにいつだれが
きづくことになるのだろうか
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