雨しぶき軒きした儕もがら

『よし、そなたに名を授ける。
四阿(あづまや)罫(け)者所貢猫。
そなたは今日から武門猫氏族の
始祖、貢猫公じゃ』
河原のあずまやののきしたで
一体きり疼く待っていた寅柄ネコと
あめのなか暫しの雨宿を儕にした後
別れが惜しくなった私は唐う突つに
ネコ相手にかってに職名を能たえて
そのばをあとにした
ネコはその重みを畏れる呈でもなく
出会い頭に単だニャアとだけ鳴いて
あとは終始むごんの居士だった
なむと黒田孝高の如き胆の映えある
腰掛けた獣侍だとそのときは
おもった

とぅっとぅっとぅっつつつつつるる
とぅっとぅっとぅっつつつつつるる
あめの幕わらずまりふり頻きるなか
眠そうなネコと私はただみつめあう
いのちといのちの交歓の慶びが恋が
私と彼貢猫公との間を鼓みひろがる
晩秋の雨はこんなにも冷たかったか
しかし一期一会の交流というものは
こういうものだ 次であうときは
おたがい 旅びんしらんぷり
会っても向こうもこっちも見分けが
つかないはずだもの
だがしかし こうした卵強意同士の
仕合の刻緑は種別の境をまたいで
その邂逅を宝仙と瞬かせ筒づけるの
であろう あの雨柱亰を証人としてね




22/11/24 04:35更新 / OTOMEDA
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