vanilla 雨
「あっ雨が降ってきたよ」
「わあ! いい匂い〜」
茶肌のこどもたちが一斉にそらを
あおぎ 天からのめぐみに喉潤した
今日もバニラ味の雨が降る
ニューギニア島でもコンゴでも
科学のきまぐれを切っ掛けに
バニラの森が大量発生
蒸発した水蒸気にそのエキスが
そそぎ込まれて混ざり逢い
ささくれだった社会に
おもわなかったプレゼント
亜細亜洲はじめせかいじゅうに
約いちねんに綿たって
いい馨が立込めることになった
だれもがだいすきバニラあじ
バニラあまいので
ゴリラも歓び貪る
北京民も傲慢悔い改め
協調する優しさ取り戻した
本来の知的で高度な感性の 穣たかな
かれらがやっと 帰って来た
暴威を奮いまくったみくろの
殺ろ拏ヴァイラスも恩恵に打たれて
悪辣の矛先を納めたかのよう
真の科学って本来こういう風に
利用するべきじゃないの?
細菌兵器とか領土侵犯の
ツールじゃなくてさ
だれかがひとりでもそのこと
さいしょに謳いだしたらそれが
きっとひろがってでんぱしてって
やさしい世紀のあるじに 住人に
わたしたちぜったいもどれるよ
あのじだいがヘンだったんだよ
って
あとできっと騙り繋いでいけるよ
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