『レジェンド』★ボトム
『いやです!!そんな羞ずかしい姿
…………(*/□\*)』
わたし、鰆雪は一も二もなく即座に
その誘いを拒絶った
するとイケメンでその名の知れる
不死鳥生徒会長はいきなり土下座し
両手を合わせて拝のみはじめた
『いやたのむこのとおり。いつも
二番手のわが第二高校が今度こそ、
第一高校に勝つためには、キミが
あの『伝説』を身につけて代表
ロードレースで走ることがなんと
してでも必要なんだ!きみだって
わかるだろう?』
かえりみれば確かにわたしの手元に
はお婆様の形見であり身にまとう者
に最速のバフ (元気、強化異能) を
賦与する『伝説』のブルマがある
なぜかお婆様が遺しわたしが受け継
いだ衣裳箱に仕舞ってあったのだが
いつものように気軽に洗って濡れた
髪にかぶったりしているうちにうっ
かり鞄ん底に入れ もってきちゃった
のだ
ブルマをはいて過ごすのが全盛だっ
た昭和の時代にお婆様が今のわたし
と同じ高校に通っていてこれをはい
て当時の第一高校の代表選手に勝利
したという言い伝えが両校や県内に
真ことしやかに都市伝承として語り
継がれている
わたしがもっていることを折角周到
に隠していたのに生徒会長はどこか
で調べあげてわたしを呼び出した
以前からちょっぴり憧れていた不死
鳥さんにここまでたのまれて拒否り
続けるのはわたしも心臓を締られる
想いだ でもいまの令和の世の中ブル
マーを履いて暮らしている女子高生
などどこにも存在しやしない
アニメコス レイヤァなどいちぶマニ
アだけの閉鎖世界にしかない
ましてや成績上位で容装も遜色なく
二つ名『ウィスパード・フェアリー
』でよばれているわたしが (これは
自慢じゃないよ かえって恥ずかしい
のっ) 大勢集まる対決観戦の衆前で
あれだけをつけた格好でアクション
するなど確実にわたしは社会的な死
をむかえる 想像しただけでなにか
いけないものが滴り出てきそうにな
る だけれど
『さあいそいで着替えて。みんなが
きみの克つのをみるためにまってい
るよ。きみが勝利したときのオッズ
も今が最高額だ!』怪鳥はさわやか
な笑顔と糸目でわたしを急いた……
『あの 少しだけ考えさせて下さい』
困惑したわたしは更衣室でひとりに
なってから逡巡した あたまの裡では
春夏秋冬がいっきょ走馬灯のように
かけぬけた いやいや縁起でもないこ
と 詮なきことよ!もう
わたしはじつは将来政治がしたい
そのためにはたった一日からだの
イチブを大衆に観られるくらいの
恥体験などなんということがあろう
15分後わたしはむだな桎梏を流した
シャワーを浴びたあと両頬を叩いた
そのまま『伝説』をいざ 装着して
スタート会場である両高校の中間の
中央駅に仮設された勝負コンコース
(アリーナ)まで歩いて移動した
シイリングライティングが眩しくて
おもわづ顔を遮る わたしのコスを
目にした観衆の驚鳴が聴こえてきて
二の脚に雷撃が伝った
さあ覚悟は完了。 やってみせるよ!
頭上から降ってくる歓声の豪雨に皿
らされおもわず裂衛のめくれを震え
る指で複どす 茎奥の菊膜を湿める
爽や汗が琲苺坂をつすくると落ちた
『 勝つわ!』
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