「うぐいすだに!」
墓俊はみそりの手をとり雑木林の茂る野のまつただなかに身を開花させた みそりはちょこんと頸をかしげる「ここはどこなの?」
「ここはね、みそり。ちょっと昔にはうぐいすだにとよばれていたところだよ」 「わあっほんとうだ!まわりが緑いっぱいで小鳥の聲がきこえてくるね?」
けきょ けきょ けょけょけょけょけょけょ……「小鳥さん かわいいね」
木立の上を指さすみそりはやがて満面に瑛を湛たえふりかえる
平原に即した丘のうえには古びた重層の邸が横たわっているのが臨えた
「あのすごいたてものは何?」
「あそこはね。科学ハクブツカンといわれていたんだ」
墓俊はつい釣られ綾吊られるように講じだし じしんじゃ歯止めが掛からない 「カガクはかつて全能と思われていた、併かしその研げたとおもわれた最盛期に滲みだし破散したひとのほんとうの宿敵、最大の敵に対してはナニひとつ成す術ベのないことがやがて哀しく露見し、絶望にとって替わられた」
「 …………………… 」
「おろかな昔の連中は肝腎な区切りで肝腎な対応を放置したんだ、思い返えすに詰みぶかいものがたりだよ」
「 ……どういうこと?」
「150年にまたがるコロン災厄のためにひとの文化はみるみる衰退してきたが、第178波の襲来はついにひとの良識にDNA的にとりかえしのつかない打撃をあたえ、それまでの文明はいったん閉じた……隔離され封患した、臭いあなに蓋をしてみてみぬふりをしたんだ!」
はげしく火勢を沸き揚げた激昂の照りかえりにちからなく跳ね返る困惑の気粧「ふうん……難づかしすぎてみそり、よくわかんないよ、おとうさん」
墓俊は26歳になるみそりのカラダをだきしめたまま涙をぬぐった そのみえない項なじのうしろで睚尻を逆立て更に歯をくわっとむく
そうだ。いつかあるべき人類種の聚代と尊宝をとりもどしてやるのだ!
瞳孔のおくそこでめらめらと焔がプロミネンスモォドのダンスを繰り演ろげていた
https://youtu.be/9WeptD9Lojw
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