イボ痔 ブリーフストーリー




あたしはその頃いぼ痔になやんでた
年頃だったので同い年の友達や彼に
は打ち明けづらい悩みだ
当時は学校で木製の椅子に座るのも
痛くてつらいので こっそり小さな
クッションを尻の下に噛ましたりと
どうかしら 我ながら健気だと思った

あるひ お風呂の湯船に浸かってると

『白歩さん〜。白歩さん〜』 と

したのほうからなさけない声で
喚ばれたので覗くと あの疫病神の
いぼ痔のぷくぅっと出た患部だった
患部はあたしの顔までシュールに
延びてきて一生懸命解説をはじめた

『ええとぼくはじつは3ヶ月前に
このひろい燦然世界宇宙の別の
ぎんがから旅してきたプモ星人
なんです』『白歩さん〜。
ぼくたちはあなたたちのサイズ
からするとお豆のような構造を
していましてその星にすむ動物の
排泄口のそばに寄生して自己の
生命を維持する宿命なのですが
そのままならご迷惑はさほど
お掛け致しません』『白歩さん〜。
ですから正式にぼくと契約して
ぼくの宿主とおともだちになって
下ださいませんか?』


「……厭やっ、 お断りよ!」

するといぼ痔はしょぼんとなりもう
二度とコンタクトをしてこなかった
その後いぼ痔は唐突に肥大化して
重症化しあたしはとうとう入院を
を余儀なくされた ううんっべつに
後悔なんかしてないわ!あの回答は
こういうシチュエ じゃ当然よ!

すでに生体ではなくなっていた
イボン(あたしがいぼ痔につけた名)
はおおかた切除してもらったものの
一部が執拗に残り お陰であたしの
余生は散々なものになったのだった
のだわ(墳) だれかこの怨み賠償してっ!






22/05/23 04:54更新 / OTOMEDA
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