翻波璃慈宝



神戸トアロードの店で向き合った
瑠璃標本


とたん瑠璃峡に招ね込れ
かこいこまれたつつみんこまれた
まわりは森と山脈だけれども
すべてが瑠璃基調のモノトーン景
その摩可派でスパイラルしながら
蝶の残留遺恨が粒ララに訴えてた
『自由うばわれたくなかった』
『自由うばわれたくなかった』
『汚されたくないよ』


「買うかい、兄ちゃん」

はっとたましいおりてくると
丸眼鏡かけた店主に声かけられたが
かぶりをふった まよいがなかった

大切に死ぬまで補完できる自信が
ないのだ
もしも管理方法を怠って劣化させ
たり欠損させたりしてその美を
喪わせたら生前の蝶の美に
何といって詫びをいれたらいいか
そんな下らない理由付けだけが
のうりろほりりよぎって浮くれた

ゴメンヨゴメンヨ
キミの生とともにやくどうしてた
美を人間の狭量な価値観の枠檻に
封じ込めてゴメンヨ
標本にむかってマイニチひとの
エゴをおもいださせられ
コウベをたれつづけることは
到底溺きないとの後ろ髪退かれる
後ろ指射されるおもいで
神戸の崖麓煌都をあとにした

そのきおくあとになるほど
燦々と鱗灯放つ



22/02/22 00:00更新 / OTOMEDA
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