球 分かつ 有刺鉄線
メッシュ!
ぼくは恒に鉄条の網目の籠に
周こまれている
まわりからはぼくを監査する目
目また目また目 ささくれる視線
ついでにぼくに粘り係らみ憑き
捌ばこうとする麺の簾の騒わも
それつい千切ってくちにいれると
甘味があるものの雨まぐさい
しかも後から後から果てもナウ
執拗く切りがなくて心がしぬる
こころしんだ後は蠢く躯の裡で
ただ骨の洋服に痣こがれるのみ
ネクロマンシイの二つ名をこうや
って冠したのだよ内閣官房魔法省
ありあらゆるテラコロニーの
租界でベルリンでシャンハイで
有刺鉄線は有史以来いかに個々の
係がな理を分断してきたのか
鉄線の精たるぼくだけがそれら
恨み凡てを憶えている
忘れてたまるか(メラメラ)
あみ目のなかの棘崎の先端点の
ひとつひとつに
掬われない遺恨が満たされている
それは球の一律曲した整調に侵み
未来の月壊片のように粉解させる
完ったあと捨がるは鬼衄な野辺の
古 堰 を拐らう
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