波みだ滲ぢむ原風景捜がしの栞
しまなみ海道にある因島で一じき暮らしたことがある
村上海賊の霊話が背中合せにいつもいた
ちかくの大三島には大山祇神社神職令嬢で水軍率い闘った大祝鶴姫の伝承も遺っていた
裏の丘上の畠端あるいていると
猪がぶほぶほふんがぁーっと暴れる響きが時おりした
蜂ち合わせないかこわくなっておもわず疾げてしまった
本因坊のかつやくで碁だいすきな棋士にも垂涎のしまだ
ポルノグラフィティも簇かって自撫して雲上憧めみたんだろうね
八朔や檸檬がどこいってもたわわで
転がってきてぬっかりひろった檸檬をそのままくれようとする
大舎のおばはんの人情がちょっぴり酸っぱかった
そのまま突きかえしちゃったけどさ
好物のポン柑だったらもらってたかもなあ
籬のさきからカンカン帽したトラジローがひょっと掌あげ顕らわれそうな幻覚までした
経年とともにあの餅止したような時間のなかへ還りたくなってきたのはなぜなんだろう
べつにうまれ故郷でもないのにな
TOP