宝噴く峯の air(アイレ)
父の故郷のいわて盛岡にはもう
十年以上いっていない
あの素朴な県都にいった折には
ちゃぐちゃぐの凛奏を聴き乍がら
きまって来ずかた城址の岡から
北方に岩手山を見上げるのが
じぶんの定番ブウムだが
決って脚を運ばざるを得ないのは
じどうらかん公園
そこではこどものあそびば広場
を環こむようにぐるるるりと
一六柱の羅漢石像が鎮守し
神妙なおももちの鎖域界を
服くりだしている
しも月の晩秋のいまじぶんに
訪ねると迫もり来る裳ふゆの
白の予感が尖端で感じられて
空前の旅愁に疼いなまされる
父祖の霊窩と神威に正直に
むきあうのはちりめん織に
映しだされた己れの由来を
革りかえし感じ掬くうのに
とても役立つ礼範だと思う
キタノ頑健の髄にたまに桜れ
ミナミノ楽艶と対比する琴で
振れる情緒の天秤を律さえる
そんなチャンスもある種 珠玉で
美酒たる 寶なんじやないですか
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