ユウフラテス




悠 悠
游 游 の 夕


マッカナ落日に浮かび上がる

遠おい脳内潤すユウフラテス

ナナメにさしこむ



日輪の光が忘却される筈だった

歴史を一瞬てらし上がらせる

そんな背後些事にもかまわずに

はてしなく薙れるユウフラテス


ふうふらる
うる すす


編まれた楔の意匠が事象を今に

遺し知ろうとする者はそれらを

知る そんな 慈 遊


なにもなくただ悠久だけあった

原 野



やがて叢が生え花が映え

葦の原と薮に鋏まれ水鳥佇む

畔とりから二本脚がいつしか
強欲に傲慢に舎たて夢ひろげ

邨を都邑を層ねてゆき
種として多種を喰らい排斥し
摂理を意匠に枠嵌めて歪めて
罪と共に球しを穢していった







かの黎明未明史はそのように

統べ滑べと 鋭痢な鏡となりて

われらのいまの文明(ばか)を

反つす反証となる

追いつめられた今だからこそ

攸 への溯旅は いみ路をなす

ひとのこころに恒ね形たどる

幻彩ユウフラテスへの

思念と寄索のたび路


薨れた同伴者の骸袋や柩怩ニ

ともに ただ死靄 に まみれ

どぅうとぅ らる









21/09/01 05:52更新 / OTOMEDA
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