針の林のなかで私は咽けぶ
雨の降りしきるなか
あなたと別れた
これがきっと永久のわかれ
2人の途はもう交わることはない
はじめから出逢わなかったことに
しよう とあなたは最後にいった
それは忘却の決意 命令
あなたとつきあった日々が凡て
私たちに何も与らさなかった
全部ムダだった時間の浪費だった
そう 決めつけられたようで
ものすごく惜やしい
ドラマや詩のなかじゃ雨がぜんぶ
洗い流して忘れさせてくれると
いうけどそんなのはただの理想だ
いちど傷つけられて血まみれに
なった深疵は癒えない
だって絆って傷縄なんだもの
お婆ちゃんになったって怨んでる
愛の裏返し皮膚の裏返し 愛憎だ
病んだ霊魂が鎖り堕ちるトラウマ
お化ぁちゃんに私はなるよきっと
だから止むようすのない雨の針は
漱すぎのせせらぎなんかじゃない
ただの突づく棘だ 痛い針だ
並んだカサの輪舞もあざといだけ
クロージング直後のブラウン管の
走査線 虚しさだけが編まれてゆく
ジトジトじかじかと途絶えない
憂さは止まず 暗礁は丘らなる
私はいま認識した覚悟が決った
私のいるこの都会ちは針の林
棘の海 毒の運河 棺の摩天楼
また今夜も落ちてくる針に貫かれ
アスファルトに刺し型められる
私の襤褸襤褸のこころが
あなたとは出逢わなかった
はじめからカンケイがなかった
だからむなしさの因けも
もはや わからない
ワカラナイ
ただ意識なく 針の受け皿となる
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