ネットで安眠する宅配奇譚
キトゥトゥピチュハススコ...
アマゾンの潤りから吼え猿が
むらがって拝顔するなか
冠ただきに刻とめる天空都市で
リャマにのったイリヤテッセに
遭った
『アジンハムスカカンキーチス
クシクニンカンタレクシスパィ』
と突きだされる乳首に触れながら
素朴だが素敵な葦笛を受けとり
西国のある人物へ届けるよう
依頼された
商談のあと彼女はわたしに
サチャインチの実をくれた
『テヤダーワンタァバーデイ』
バガンの廃れた寺院の斃れかけ
の仏塔まえで老いてよろめく
彼に遭った
葦笛と引換に渡されたのは弦が
切れてすりへったサウン・ガウ
故国に持ちかえり寄贈して
ほしいという
じつはあとすうじつの余命を
宣告されたあとだそうだ
ながいこと怪僧として各地
さすらい埋れる邦友の骨や
ムクロを祓ってきたが
それも終まいと美粧うかべ
満悦そうに最後に呟いた
『クィンピュウバーオウン』
わたしは坐るけつの底が
あたたまることのない
地球宅配師
観光会社おいだされて
一気奮発起業した
けっこう忙しく歳を経るの
速く感じるのがたまにきず
ただひとつの煩悶である
いまやこころ休まれる寝床は
ブログの手記のなかだけだ
そのうちきっとたびの穹の
したのじべたでよこ臥わり
このムクロを晒すのだろう
覚悟は完結罪みだ
そのひがじつは楽しみだ
TOP