満面の笑み

今ね、

初夏の 風香る川原で
  僕、1人で水遊び! ♪


日座しキラめく
 土手の上から

満面の笑みで
 僕を見ている
  オジサンが1人



嫌な予感‥


誘拐? 保護?
   それとも‥


両親と別れて まだ数日、
 雑草の影で 両足がすくむ。



(ハァ‥ハァ‥
 ねぇ僕ぅ
  どこから‥
   来たの?
    (ハァ‥ハァ‥




男は必要以上に 興奮し、
辺りを何度も見回していた。



お‥かぁ さ‥ん‥
 と 声にならない声‥
  首をすくめて母に祈り‥

    助けて



‥願いなど 届くはずもなく
 ニヤけた男に 手を取られる。

そぅ‥

僕の人生を狂わしたあの日
 あの 出会いさえなければ
  今頃私は きっと自由の身


プラスチックの部屋
自由など微塵もない
この男との今の生活


水道の水の音で ふと思い出す
遠きに想う故郷の川のせせらぎ


あれから三年


ただ ただ毎日が
   たんたんと。


あの日
あの時の

満面の笑みと
引き替えた
私の人生‥

明日と言う日に
夢や希望など
あるものか



スッポンの
   独り言。



25/12/07 17:58更新 /  老女と口紅。
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