お味噌汁の詩

朝 

一番に ピーちくと
 鳴き狂う 雀の子
  斜光は 厳しく 
   目蓋は 重く




パジャマ姿で腰掛けて
 出された味噌汁などを
  じっと見つめてもみる‥

すると

漆の椀は大正浪漫
 椀内から揺らめき出ゆる煙は熱々の証
 覗き込む先に見えるのは赤茶けた羊水
 母なる体内に白く浮かぶは角切り豆腐
 エメラルド・グリーンは刻みの細ネギ
 青きその身を揺らすは北国のワカメか‥


まずは 存分に目で味わう
  見てよし‥ 嗅いでよし‥


この時ばかりは
 温かい新米や ダシ巻き玉子に韓国のり
  厚切りの 紅ジャケさえも 脇役へと‥



ごめんよ

君を
只の味噌汁と思ってた


違うんだね‥


君は僕の LIFE‥
そのものだったんだ


見てごらん、 ほら
 感動で お箸の先が 
     震えているよ
そして
 目からこぼれ落ちる物は
        感謝の雫さ


今日は揚げさんが
入っていなくても
    ‥いいんだ。

ねッ、
お味噌の汁さんっ!


僕はもぉ
君の大きな存在に
  気づいたんだ

 残さない、必ずさ‥
 残したり するもんか


でもね、白じゃ
  駄目なんだ。


赤でないと
赤味噌でないと‥



あぁ‥
 僕はもぉ

赤味噌さんしか
 愛せないんだ‥。



25/12/05 13:24更新 /  老女と口紅。
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