冬の朝焼け
あの朝焼けが美しいのは冬だから
青灰のキャンバスの隙間から
刹那の光が空に広がる
見上げれば東に昇る今日の陽が
名づけられない色を連れ
波のように寄せて来た
赤と言うにはほのかに淡い
散りばめられた魔法の鱗が
柔らかな彩りで雲を染める
しんと冷たい世界に立って
そこだけがあたたかく
そこだけがやさしい
さみしく暗いと思った冬が
見せてくれた一反の綴れ織り
誰のためのものだろう
一瞬のときめきに攫われた心
すぐに薄れて消えてゆく
もう見ることのない景色だけれど
あの朝焼けは冬がくれた贈り物
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