最後の秋
降りそそぐ光を浴びて
佇む黄金の木
日差しはやさしく穏やかに
秋の終わりを包み込む
青空に溶け始めた冬の色
暖かく乾いた空気
風さえ今日はしなやかに
木の葉を揺らす
待ちわびて迎えて
やがて見送る
それが季節の巡り
眩さと儚さが混ざり合う
輝きに満ちた姿
見つめながら心から思った
世界はこんなに美しい
だけど違う場所には闇があって
あなたはそこにいる
待ちわびて迎えて
やがて見送る
それが愛の道程
それなのに
それだから
変わりゆくそのままに
刹那に吹かれて
舞い散る銀杏の葉
羽のようなひとひらよ
風に乗って飛んでゆけ
あの人の窓辺まで
出来るなら
抱きしめて抱きしめて
あなたの手のひらに乗せたい
この光を
最後の秋の温もりを
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