幾千万の交響曲

気がつけばじわりと汗ばむ肌

春は夏に追い立てられて

影もなく逃げて行く

最後に散った坂道の桜も

豊かに新緑を纏い別の顔

季節の物語はプロローグを終えて

劇的に景色が変わる

忍び足から疾走へ

次々と映し出される鮮やかなシーン

その中に思い切り飛び込んで行きたい

巻き込まれたい

眺めてるだけなんて狂おしくなる

高鳴る胸は原始のざわめき

呼んでいる

呼ばれてる

百の旋律が流れる

千の色が重なる

幾千万の生命(いのち)が叫ぶ

聴いてるだけじゃ悲しくなるんだ

この光の洪水に溺れたい

深く沈みたい

花よ緑よ咲き萌えろ

山よ海よ明るく輝け


鳴り響け

季節の交響曲よ

圧倒的に詩を謳え






24/04/25 22:21更新 / 香弥
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