侘梅

ときめいて

訪ねた園に花は無く

鄙の都はひとひらも

香り残さず散りぬるを

僅かに見える蝶千鳥

色も匂いも攫われて

見頃はいつとおぼめかし

風の気まぐれすれ違い

時を逸した侘梅の

花の心は知らねども

叶わぬ逢瀬のさびしさに

しだれの枝先揺れるごと

頭(こうべ)を垂れて後追いの

梅散る園を離れけり









24/03/26 23:04更新 / 香弥
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