月と山茶花
夕方の空は
やわらかな青灰色
雲の切れ間に半月が浮かぶ
宵闇近く翳りゆく庭へ
金の光を投げかける
小さな庭の片隅で
ひとつふたつ
開いた山茶花
白い花びらを震わせて
空の月を見上げてる
その姿がその白さが
あまりにも清らかで
雪のようで
淡い思いがこみ上げたけど
見つめることしか出来ないの
旅立つあなたを見送った
あの日もここで咲いていた
こぼれる吐息が真っ白な
寒い寒い朝だった
今は空から見ているかしら
光を注ぐ月のように
それとも咲き初めたこの花に
こっそり宿っているかしら
見つめることしか出来ないの
夕空の月よ
地上の花よ
月日はとても早いわね
今年も山茶花が咲きました
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