永遠の一瞬
子どもの頃は季節を知らなかった
暑い寒い
天気が良くて
雨が降って
気にしていたのはそんな事ばかり
今はまるで
遠くから訪ねてくる
友だちを待つみたい
早くからワクワクしている
春の桜
夏の空
秋には紅葉
冬は雪山
それはほんの束の間
最初の蕾が開いたらやがて
舞い散る花吹雪
入道雲が横たわる空は
高くなり透きとおってゆく
紅葉(もみじ)の色づき黄金の葉
白い綿を被った山頂
待ちわびるほどに短くて
走り去るマラソンランナーを
見るよう
だから一瞬の
美しい時を捕まえたい
通り過ぎてしまう前に
今 森の梢は金茶のベールを垂れ
木漏れ日を揺らす
木々の命は永遠を思わせ
私の命と溶けあって
流星の輝きになる
ずっとこうしていたい
何にも縛られず
過去も未来もない
ただ風が吹く中を
まためぐり来た
秋景色を眺めながら
世界の片隅にいる
気がつけば季節は
懐かしい友のように
私を抱き締めて
心が震える
涙が滲む
何故だろう
不思議だね
何故なんだろう
不思議だ
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