夏の貝殻
貝殻みたいに埋もれてた
記憶の欠片がきらめいた
見つけるつもりなどなかったのに
偶然拾ってじっと見る
突然凪いで風が止まった
心によぎる淡い影
たくさんの貝の中から
どうしてこれなんだろう
ただ普通に過ごしただけの
あの夏の日
懐かしければ懐かしいほど
さみしくなるのは仕方がないね
どんな色でも形でも
今もこんなに愛しくて
もう確かなものではないそれを
包むように握り締める
束の間でいいんだ
見つめても時間は
決して止まらないから
風が吹いて波が寄せたら
手から放して海に戻すよ
歩いて行く
変わらぬ歩幅で
見えない明日に進んで行く
だから貝は沈めておこう
思い出という名の砂浜で
またいつか拾うときまで
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