蛍
夏を辿ればいつかの夜
あなたの背中について行く
暗がりに紛れる足もとだけど
道は見えなくても怖くなかった
ほら ごらん
いつになく弾んで聞こえた
あなたの声
小さな沢の水辺に灯る
微かな瞬き
蛍が飛んだ
数えるほどには多くない
闇夜に浮かんだ星のよに
消えそうな光に目を凝らし
あなたと夏に立っていた
ほら ごらん
やさしかった
あなたの声
ふいによみがえるいつかの景色
暗い林道
せせらぐ水辺
大きな背中の向こうがわ
ひとつ ふたつ
蛍が飛んだ
あなたと夏に立っていた
23/06/28 21:47更新 /
香弥
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