舟
時の流れを漕いできた
大事なものを舟に載せ
いつの間にこんなに遠くまで
下って来たのか
顔を上げれば
四季おりおりの景色があって
美しいものを美しいと
心踊らせる自分がいた
そして気づいた
舟を漕ぐことに夢中で
何も見てなかった
何も感じてなかったと
季節が変われば景色が変わる
いつの間にか人の心も変わること
何より自分の心でわかった
やわらかな風が吹いて
胸の奥の雲が切れる
もうがむしゃらに漕がなくていい
そろそろ休みながらでいいんだ
そう自分が感じたことが大切なんだ
時は流れた
心の声に従って
私は私の季節を生きよう
通り過ぎる景色を
見逃さず行こう
いつか舟を下りる日まで
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