彼岸坂
紅いのひとつ 黄色がひとつ
秋を彩る彼岸花
数えて上る坂道は
あなたへ続く通い坂
何度来たかと数えても
思い出せなくなりました
秋晴れの彼岸日和
あちこちの墓前に花が供えられ
人が行き交う
日差しが降り注ぐ墓に
涼みの水をかけ
花を供えて線香を焚く
いつものように湯呑みにいっぱい
お茶を注いで手を合わせた
今日はみんな忙しくてひとりで来たよ
私もお茶をいただきながら
静かな墓所の語らいは
母を訪ねる彼岸の倣い
月日が流れ今はもう
さびしくないと言ったなら
それはそれで嘘かしら
みんな大人になって
みんな年を取ったのよ
あたりまえのこと
来るたびに思うこれまでとこれからの年月
願いと最後の言葉は同じなの
みんなを見守っていて下さい
頑張るからね また来るね
お参りを終え出口に向かって歩き出す
振り返ると供えたばかりの花がきれい
坂を下りれば見送るように
彼岸花が揺れている
離れるときはいつもほんのり
名残り惜しい
今年もどこに咲いているのやら
姿を見せない金木犀の
ほのかな香りが風に舞う
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