タンポポの綿毛

シロツメクサを摘んだ団地裏の空き地
みんなで座って遊んだ
一緒にいたのは誰だった?
私は誰と笑っていたの

小さな手で集めたシロツメクサ
教えて貰って冠を編んだ
載せてあげたのは誰だった?
思い出せない

隅っこに咲いてたタンポポの綿毛を
吹いて飛ばしたあの日
まだ見えない未来を
私は見ていた

あれから長い旅をした
部屋の片隅
お気に入りの椅子に腰掛けて
時々ちらっとあなたを見る

あなたは横になってうたた寝してる
あなたの頭の上にちょこんと載った
シロツメクサの冠が見える
どこから来たの?

遠い遠い団地裏の空き地で
あの日手に取ってふーっと吹いた
タンポポの綿毛
ふわり風に乗って時を越えた

この部屋はシロツメクサとタンポポの畑





21/09/06 21:45更新 / 香弥
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c