盆の送り火

盆の送りに吹く風に

ろうそくの火が何度も消えかかる

あなたが吹いて消そうとしてるの

もう少しいられるといいけれど

今年で何回目だろう

ようやく当たり前になった風景

おがらが燃えて煙が上がり

名残りを惜しむように

かすかに頬に触れてゆく

玄関先に立つ父と手を合わせる

ふたりで見送る母の魂

牛に乗ってゆっくりと

あたりを眺めて帰ってね

夏の入道雲が真っ白に

広がる空から手を振って

おひさまみたいに笑って見せて

また来年

後ろで父もまたねと言った

その声がなぜかとても可愛らしい

今年も無事終わった盆の送り火

こうして迎えて送りたい

来年もまた父と一緒に

変わらずふたり一緒に



21/07/17 23:09更新 / 香弥
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