シクラメンの蕾
ひんやりとしてきた秋の空気を
鼻腔からおもいっきり吸って
心から爽やかさにほころび
胸いっぱいにふくらんで
頭のてっぺんまで秋の風が舞って
いる
タケコプターがついて
あのいわし雲まで飛んでいけそうだよ
きみと手をつないで飛んでみたい
そんな夢想も秋の色合
バルコニーの鉢植えにシクラメンの株を付け加えた
特に紫の花言葉が気に入る
この花が咲く頃
もっと空気はひんやりとして
外気温が下がるだろう
反比例して不思議と私の心は
暖まっていくのだろう
小さく集うように
温め合う小鳥のように
小さく集中する
シクラメンの蕾のように
そして早朝のバルコニー
眠気まなこをこすりながら
伸びをした後の君の
白い息に包まれるのを
待つかのように
ひとひらひとひら少しずつ
咲くだろう
シクラメンのように
はにかみがちに
内気なままに
咲くだろう
TOP