木霊する

悲しげな縦笛のしじまのような音色が

青々としげる草の匂いと一緒に

運ばれてくる

川のせせらぎにも似て

人の心の岸辺に静かに流れてくる

大きな木立の木陰に立って

夕刻のチャイムと重なり聞けば

ふと君の痛みや苦しみが胸をつく

ただ木立に寄りかかり身を寄せる事しかできなかった

木立と私を中心にして

縦笛の悲しげな音色は

風と舞い

緑の薫りをくんじ

鼻腔を通りこの胸をついて

大聖堂の讃美歌のように

鳴り響き 

ひとすじの聖杯のような

涙となる

ああ 君よ

安らかなる夜に眠れ

いつか実る

その傷だらけの心よ

散り落ちた
言の葉のベッドで

安心して眠れ









22/09/04 22:50更新 / 檸檬
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