微笑み返し

四角の窓からオレンジの灯り

夜空に浮かぶ三角の屋根

星ボシが丸く光れば

流れ落ちる涙も星形になる

夜の住宅地の広い街路樹の道は

車もなく

雨に洗われ澄んで人気もない

ど真ん中をあるいて

広がる夜空

まだ少しかぼそく鳴く鈴虫

何重奏にもなる秋の知らせは

まだなのだろう

パーカーを肘までおろして

羽の様にして

くるくる回るさ

歯ブラシをくわえて

静かな住宅地に歯磨きの音

鈴虫と静かな協奏曲

夜空を見上げたら

涙が光って頬を伝う

虫にでも何でもなって

君という光を目指して

今すぐ飛んで行きたいよ

蝉のように泣く心を

鈴虫の声がたしなめてくれる

これから何重奏にもなるのを確かめながら

夜毎空に溶かしていかねば

涼しく柔らかな夜風が吹いて

漆黒の空に

遥か彼方にある星が光ったから

フッと笑うことが出来たかな







23/09/03 11:32更新 / 檸檬
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